第1回 カゴメ株式会社

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食育活動を手がけて45年
成長しつづけるカゴメの試み

~凛々子(りりこ)わくわくワークショップ~

全国の幼稚園・小学校約3,700校に、トマトの苗を無償で提供している「カゴメ株式会社」。 その活動は、「凛々子(りりこ)わくわくワークショップ」と題し、カゴメの食育支援活動の一環として位置づけられている。 活動の内容と、カゴメの食育活動の姿勢について、広告部COプロモーショングループ 食育担当 浜井純子氏にお話をうかがった。


10年目をむかえた
「凛々子(りりこ)わくわくワークショップ」

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まずはカゴメさんの食育活動が、いつからスタートしたのかお聞かせください。

活動の歴史は古く、45年前から始まっているものもあります。当初は、カゴメの主力商品であるケチャップが、お子さまの好む調味料であったことから、 日頃ご愛用いただいているお子さまやその保護者の方々に、感謝の気持ちとカゴメの企業姿勢や商品をお伝えする企業PR活動としてスタートしました。
今からおよそ15年前、日本でクローズアップされはじめた「食育」という流れに目をむけ、それまでの活動をより意義のある活動にしようと考え、 「食育支援」というコンセプトでくくり、充実させました。その頃、食育をテーマにした番組提供や、お料理コンテストといった活動もスタートしました。
そして、10年前には、カゴメトマトジュースの原料となる加工用トマト「凛々子(りりこ)」の苗を無償で配布する活動がスタートしました。 カゴメの食育支援活動の歴史からすると、この活動は「まだまだ新米」という感じです(笑)。


10年で「新米」というのも、驚きですね。何がきっかけとなり、トマトの苗を配布する活動がはじまったのでしょうか?

▲「凛々子(りりこ)」は、カゴメのトマトジュース専用の品種名。生食用のトマトよりも、ややこぶりで、完熟すると芯まで真っ赤になります

当時、トマトジュースに使われるトマトは、市場で商品にならないような傷んだトマトを使っているのではないか、 という誤解が、消費者の方に少なからずありました。もともと、ジュース用のトマトは、サラダなどで食べるトマトとは、品種が違うものです。 それを知っていただくには、実際にご自身でトマトを育てていただくのがよいのではないかと考え、スーパーなどの店頭で苗を配布するキャンペーンがスタートしました。

これをカゴメの工場見学に来た小学校の先生方にもご案内したところ、「ぜひ育ててみたい」とおっしゃったので、1年目は55校に配布いたしました。


55校ではじまった活動も、今では3,000校以上にもなるのですね。

はい。それまでの活動でつながりのできた幼稚園や保育園、小学校などにご案内をしながら、 年々お申し込みが増え、今年(2008年)は約3,700校に苗を配布するまでになりました。

ところが、苗の活用実態を調べてみると、幼稚園や学校、あるいは先生によっても、育てる環境や取り組み方も多様で、また、栽培後の感想や評価もバラバラでした。 あるところでは、多くの収穫があったけれど、あるところは、植えっぱなしで枯れてしまったとか。上手に授業に結びつけているところと、そうでないところなど・・・。


多くの学校や幼稚園に、参加していただくのはうれしいですが、新たな悩みでもありますね。

はい。そこで、受け手である教育現場に、「教材」としての「凛々子(りりこ)」を上手に活用していただくとともに、 日々子どもたちと接していらっしゃる先生方のアイディアやご意見などを集約し、よりよい活動へと反映していくことをめざして、 昨年(2007年)、活動の名称を「トマトの苗プレゼント」から「凛々子(りりこ)わくわくワークショップ」に変更しました。

▲4-5月に、「凛々子 (りりこ)」の苗の植えつけ (定植) を行います

この「凛々子(りりこ)」の苗の栽培体験をきっかけに、子どもたちが多くの人たちとふれあいながら、「命の大切さ」と「感謝する心」を育むきっかけとなることを願っています。

苗といっしょにお送りする「ティーチャーズガイド」には、先生方からいただいた指導アイディアを掲載し、 多くの学校で学習教材として活用していただけるように、情報提供の仕方を工夫しました。 あわせて、実践レポートを募集しており、すばらしい取り組みは、随時ウェブサイトや、次年度のティーチャーズガイド等で紹介しています。

▲先生方の意見を反映した「ティーチャーズガイド」

また、年2~3回、先生たちとの直接交流する機会として、教員研修形式のフォーラム を開催し、情報交換を行っています。

私自身も、なるべく多くの小学校や幼稚園を訪問し、子どもたちの栽培のようすなど、栽培現場を取材させていただいています。


子どもたちには、
「食」は楽しい、と感じてほしい

過去の経験をいかしながら、活動を上手に発展させてきたということがよくわかりました。今後、カゴメさんでは、どのように活動を発展させたいとお考えですか?

新たな活動を次々に展開していくということや、一次的に盛り上がって終わるものでなく、 子どもたちと、そのまわりにいる大人の方にとって、有益な活動を継続していくことが大切ではないかと考えています。 過去の経験をいかしながら、その時代のニーズに合った活動となるように、内容を充実していくこと。 そして会社の得意分野であり、事業規模に見あった活動を、続けていくことだと思います。


本日は、いろいろなお話をありがとうございました。最後となりますが、カゴメさんが、食育支援活動を通して、子どもたちに伝えたいことは何でしょうか?

▲「体験型の活動で、食の楽しさを伝えていきたい」と語る、浜井氏

カゴメの使命として、「日本人の野菜摂取に貢献する」ということがあります。 子どもたちには、健康に生きていくために必要な正しい食習慣を、小さい頃から体験によって身につけてほしいと願っています。

「食は人を良くする」と書き、「食は人を育てる」とも言われますが、実際に学校の先生方からも、食事をきちんとしている子と、 そうでない子とでは、集中力や落ち着きが違うようだ、という話を聞きます。 まずは、「食」に興味をもって、「食」は楽しいと感じられる子どもになってほしい。

また、健康な心と体をつくる「本物の食」を見極める力を、幼少期の体験によって身につけられるとよいでしょうね。 食の成り立ちを知ることや、作っている人の思いを理解すること、そういった力は、食べ物だけでなく、「美しいもの」や「信頼できるもの・人」など、少し大げさかもしれませんが、 あらゆる「本物」を見極める力につながっているのではないか、と思うのです。

カゴメの活動を体験した子どもたちが、食べ物や命への理解を深め、身につけてくれる、そんな活動になれたらうれしいですね。



★カゴメ食育支援活動ホームページ
http://www.kagome.co.jp/shokuiku

●YPPインタビュアー 取材後記●
45年の歴史がある、カゴメの食育支援活動。 10年間続けているトマトの苗の配布も、「まだまだ」と言われるところに、活動の深みを感じました。 地道に活動を継続したい、という今後の姿勢も、活動がしっかり根をおろしているからこその発言と、受け止めました。

コメント(1)

”青菜は男に見せるな”という諺を母からよく聞いて育ちました。それは、すごい かさ(量)の葉物でも、調理すると、驚くほど減ってしまう・・・男は外で働き、女は家事をするというひと昔まえの時代の話ですが。つまり、それほど火を通した野菜は少なくなるのだということです。
 我が家は、兼業農家ですので、ほぼ一年中いろんな葉物で、おひたしや煮びたしなどを口にします。りりこも煮詰めていくと驚くほどの量に減ってしまいますが、そこに濃縮されたトマトのおいしさといったら、たまりませんね。
 野菜をたくさん摂取するなら、火を通すこと、毎食いろんな形で食べるように心がけることです。
 幼いころに、舌で記憶させる・・・。ある即席めんメーカーや、バーガーショップの何年も先を見通した戦略だそうです。カゴメは良い舌の記憶を未来の子供たちに!

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