第4回 京都商工会議所

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▲京都商工会議所のホームページ

「京都商工会議所」 が推進する
小学校への出前授業

~「環境教育」をテーマとした取りくみ~

「商工会議所」とは、地域に根ざしながら、商工業の改善や発展を支援する総合経済団体である。そして「京都商工会議所」は、その名称のとおり、京都の経済・産業を支援する団体だが、「環境教育」をメインとする、小学校への出前授業を推進しているという。
その活動について、産業振興部 まちづくり推進担当の谷口真氏にお話をうかがった。


活動がスタートして7年目
ここ2年で、急に参加者がふえる傾向に

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京都商工会議所が、小学校への「環境教育」の出前授業を推進していると聞きました。まず、推進をスタートした時期と、京都商工会議所の役割について教えてください。

スタートしたのは、2002年からです。
京都は「京都議定書」(注:1997年、温室効果ガス排出量の削減等について議決した議定書)が締結された地域ということもあり、環境先進都市としての役目を担っていると思います。こういった背景もあり、当時の担当部の部長と現場担当者とのアイディアで立ち上げたもので、誰かにうながされたというものではありません。

我々、京都商工会議所は、いわばコーディネーターの役割を果たしています。

議員企業(注:京都商工会議所の会員である、京都のある有力企業。2008年度現在、議員企業は150社)に対し、小学校で出前授業を実施したい企業を募集し、一方では教育委員会に、企業からの出前授業を受け入れたい小学校を募集します。そして、私どもが企業と小学校の調整を行って、出前授業を成立させるというものです。

活動の初年度は、企業5社、小学校6校で試行的にスタートしましたが、7年目の2008年度は、21社、55校が参加の予定です。過去6年間で、累計約1万人の子どもたちが参加したことになります。

過去の参加企業・小学校等の数字は、こちらをご覧ください。

年度   協力企業数   授業実施校数    参加児童数
2002年     5社         6校            297名
2003年  13社       19校         1100名
2004年  13社       23校         1413名
2005年  16社       33校         2125名
2006年  17社       39校         1988名
2007年  20社       51校         3064名


活動の立ち上げから2006年までは、一部の凸凹はあるものの、順調に右肩に推移している、という印象です。2007年になって、急に参加小学校と児童数がふえましたね。このあたりは、何か理由があるのでしょうか?

▲「授業実施企業をはじめ、各方面の方のご支援・ご協力により、さまざまな賞をいただいています」と語る、谷口真氏

ここ2年の動きは、我々もおどろいています。
このように急に要望が高まっている理由は、今まで地道に行ってきた活動が認知されてきたこととと、企業のCSR活動への意識が高まってきているからでしょうか。

おかげさまで、2005年度には資源エネルギー庁長官賞、2007年度には京都市教育功労者表彰、そして本年度2008年度には京都府環境トップランナー表彰と、続けて賞をいただきました。また、新聞、テレビ、ラジオ等のメディアで紹介されたり、日本商工会議所の中で紹介されたりと、皆さんから注目される場面もふえてきました。



商工会議所、企業、小学校
3者のそれぞれのメリットとは?

出前授業の内容について、京都商工会議所から企業側に要望を入れることはあるのでしょうか?

各企業の授業の具体的な内容については、私どもとしては企業のアイディアや自主性を尊重するスタンスです。企業によって得意分野は異なりますし、さまざまなメニューがあることも活動のメリットととらえています。

ただし、活動の趣旨がぶれないように、出前授業の目的が、「環境問題に積極的にとりくんでいる京都企業の環境技術や取りくみを小学生に紹介する」「京都企業に対する関心を深める」「人材を育成し、将来、地域の社会や経済に貢献する」といったことであることは、企業の参加を呼びかけるときに確認するようにしています。


なるほど。出前授業の内容は、いろいろなメニューがある、ということですが、例えばどんな授業があるのですか?

▲水質を浄化する植物「ヨシ」の効果について語る出前授業

造園業の会社では、樹木医という「木のお医者さん」が講師になって、木のことや、植樹のことからはじまり、CO2のこと、命の大切さへとつなげる授業をしています。

エネルギーの会社では、電気やガスの実験など、理科的な要素を入れた授業を行っています。

なお、出前授業を実施したあとは、子どもたちの作文や先生方からのアンケートをいただいています。これらは、随時、実施した企業にもフィードバックしています。最終的には、年度末に参加企業が集まる懇談会を行い、企業名と学校名をふせた形で、アンケートの集計結果を参加企業の皆さんに配布し、他社がどういった授業をしているのか、どういったことが子どもたちや学校側に喜ばれるのかなど、情報を共有し、内容の改善ができるようにしています。


情報の共有は、企業側にとってもありがたいでしょうね。活動を続けてこられて、どういった点で成果が出ていると思われるでしょうか?

成果については、「京都商工会議所」、「企業」、「小学校」と、それぞれにあると思います。

まず、我々「京都商工会議所」は、「環境先進都市・京都」を内外にアピールでき、会員企業のイメージアップにもつながっています。また、これをきっかけに会員企業の環境担当の方などとのつながりができるので、この活動以外のことでご相談を受けた際にも、このつながりが生かされる場面があります。

▲印刷をテーマにした出前授業

企業については、一度参加された企業でやめたケースというのは、まだありません。最近の世の中の動きとして、企業のCSR活動・環境活動は重要になってきていますので、何かしらの意義を感じていただいているのだと思います。また、授業を行う講師は若手社員であることがの場合も多いのですが、子どもたちに説明するということは、誰にでもわかりやすく説明する必要があり、自社の企業活動を整理したり、わかりやすく伝えるにはどうしたらよいかを考えるよいチャンスになるようです。

小学校については、外部から人が来て授業を行うことが、子どもにとっても、先生にとっても刺激になる、ということです。先生方からは、ふだんと違う、意外な子どもの一面を発見しておどろくといった声はよく聞きますし、他の人の授業を見ることによって、自分の授業の仕方の面でも参考になる、といった意見をいただきます。

また、子どもたちの作文に、「名前は知っていても、何をしている会社か分からなかった。授業を聞いてわかるようになった」「その会社の製品を使ってみたいと思った」「今までよりも、環境を考えるようになった」などの感想を目にします。こういった意見や感想をいただくと、実施企業や私どもにとって、活動を進めるうえでの、大きなはげみになります。


活動の本当の成果は、
子どもたちが大人になる10年、20年先

今後、この活動をどのように発展させていきたいとお考えでしょうか?

まだ参加されていない議員企業には、参加していただきたいですし、個人的な意見になりますが、将来的には議員企業以外の企業にも範囲を広げられたら、と思います。小学校も、京都のすべての小学校に参加していただきたいですね。そのためには、我々もその規模にたえられるよう、受け入れ体制をととのえていく必要がありますが。この活動にかかわるすべての皆さんに、満足しもらえるものにしていきたいと思います。


本日は、いろいろなお話をありがとうございました。最後になりますが、出前授業を推進する活動を通じて、京都商工会議所として、一番期待していること、願っていることはどんなことでしょうか?

近い将来、ということでいえば、子どもたちが高校、大学を出たあとに、ぜひ授業を受けた企業をはじめ京都を拠点とする会社を選んでほしいですね。 

ただ、この活動の本当の成果があらわれるのは、実は10年、20年先の話だと思っています。ものづくりをする心、環境の問題・・・子どもたちが大人になったときに、少しでもこの活動が役に立っていれば、と願っています。



★京都商工会議所ホームページ
http://www.kyo.or.jp/kyoto/index.shtml

●YPPインタビュアー 取材後記●
子どもたちが、将来就職する際に、京都の企業を一番はじめに選んでほしいという、はっきりとした団体としての目的をもちながら、「本当の成果は10年、20年先」というコメントがまさに的を射ていて、印象に残りました。地域の総合経済団体だからこそできる、コーディネーターとしての「商工会議所」としての役割に、今後も期待していきたいと思います。

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