2008年10月アーカイブ

bt_parapara.jpg

 アニメーション作家であり、イラストレーター、絵本作家でもある、「イエロー ピン プロジェクト」理事の古川タクさん。

去る10月11日、12日に、代官山の「猿楽祭(さるがくまつり)」で、こどもたちといっしょに、「パラパラマンガ」をつくりました。

 

絵を描いたり、ねんどや紙でおもしろい形を自由につくってみる。

古川タクさんから、アドバイスも。

ph1.jpg

 

数枚、絵を描いて、カメラでさつえい。

コマを連続してくり返すと、描いた絵が動き出す。

 

切り絵を1コマずつ動かして、カメラに取りこむ。

こんな感じ?

ph2.jpg

 

すぐに「パラパラマンガ」が、パソコンの画面で見られる。

アニメみたいに絵が動いて、おもしろい!

ph3.jpg

 

みんなの作品の一部。

とってもすてき!

 

 

 

ここをクリックすると、みんなの動く作品が見られます。

https://www.yellow-pin.jp/sarugaku/sarugaku_ypp.html

みんなのパラパラマンガを見てね。

 

古川タクさん自身の「日記」は、こちら 

http://takufurukawa.jp/blog/

第6回 株式会社ダスキン

| | コメント(0)
bt_duskin.jpg

▲ダスキンの「学校教育支援活動」のホームページ

ダスキンの
学校教育支援活動

~掃除カリキュラムとセミナー~


モップのレンタルや、ハウスクリーニングなど、お掃除に関する商品やサービスの提供を行っている株式会社ダスキン。
いわば、お掃除のエキスパートともいえる企業であるが、掃除に関する学校への教育支援活動を行っているという。その活動について、暮らしの快適化生活研究所の藤原玲子氏にお話をうかがった。


毎日、たかが15分、されど15分
年間3000分にもなる、お掃除の時間

YPP_long.jpg 

ホームページで、お掃除に関する「学校教育支援活動」の取りくみについて拝見しました。学校への支援活動を始めたいきさつは、どんなことでしたでしょうか?

生活者の視点に立って、ダスキンが展開する事業領域にかかわる生活者ニーズの調査・研究を中心に行っていく部門として、2000年に「暮らしの快適化生活研究所」が誕生しました。また、次世代を見すえた高齢化社会、循環型社会における「快適なくらし」などについても、研究を行っています。

「生活者」の中には、子どもたちもいます。そして、子どもたちは、一日の大半を学校ですごしています。子どもたちや先生方が、どのくらいお掃除についての知識をもっているだろうか、そんな疑問が出てきました。

そして2001年に、小・中学校の児童・生徒および教員に調査したところ、「ぞうきん、ちりとり、ほうき」などの道具を使った掃除のスタイルが、数十年前とまったく変わっていないということを知りました。ですが、よく考えてみると、実際の生活の中で使っている掃除用具やスタイルとは、ずい分とギャップがありますよね? 現在の一般的なご家庭で、ぞうきん、ちりとり、ほうきだけで掃除をしている、というケースはごくまれだと思います。


▲年間で3000分にもなる、小学校の掃除の時間

いわれてみると、本当にそうですね。現場をリサーチしたあと、どのような展開になったのでしょうか?

学校の掃除時間は、毎日だいたい15分程度が主流です。たかが15分、されど15分で、年間にすると3,000分、小学校は1コマ=45分授業ですから、年間66コマ程度をお掃除に費やしているという計算になります。これは1つの教科に該当するくらいの時間です。

それほど多くの時間を費やしているお掃除なのですから、「15分をじょうずに使いませんか?」そんな思いでカリキュラム開発に着手しました。

2003年には、文部科学省と経済産業省共管の財団法人であるコンピュータ教育開発センター(CEC)の公募事業に参加させていただき、掃除をテーマとした授業をいくつかの小学校で試みました。そして、この取りくみをきっかけに、掃除をテーマにした授業というものが成り立つのではないか、という仮説をもちました。ただ、この公募事業のように、15時間もの授業時間を費やしたり、おおがかりな機材をもちこんでの授業というものが、どこの学校でもできるというわけではない。そこで、全国のどこの学校でも先生が授業を行うことができる、そのためのカリキュラムをつくる必要性があるのではないか、という結論に達し、掃除教育カリキュラムの制作につながります。

そして、2004年、2005年には、先生方の生の声を聞きたいとの思いから、掃除をテーマとするフォーラムを開催いたしました。

また、現場の先生方から、「掃除の時間の指導方法がわからない」「なかなか掃除に関する情報が入ってこない」というお困りごとの相談がふえ、先生向けのセミナーの開催依頼がくるようになりました。そこで2007年に、教員向けセミナーの検証というかたちで、実施させていただきました。


リサーチの段階から、7年もの時間をかけて、本格的な教員向けのセミナーへと発展されたのですね。ところで、掃除教育について、先生方の反応はいかがでしょうか?

先生方にとって、掃除のような教科以外の指導は、教職課程の中でも指導例がなく、意外にお困りであったということで、先生方のニーズにお応えしているという手ごたえを感じています。

▲時間をかけた調査の結果、教員向けセミナーヘと発展した

学校掃除の意義としては、きれいであると気持ちがよい、ということがあげられますが、そのほか、「段取り力」がきたえられるといったことも先生方に注目されています。また皆と協力してものごとを行う、ものを大切にする気持ちが芽生える、ひいては環境問題にも目がむけられるなど、多くの教育的な効果が期待されています。



先生たちに好評の
「6時間研修」の内容は?

ところで、本年度(2008年度)の活動としては、具体的にはどのようなことがあげられますか?

大きくは2つで、1つはこれまで公開しておりました「掃除教育カリキュラム」(小学校全学年対象)に続く中学校対象の「掃除教育カリキュラム」と、小学校中・高学年対象の「お片付けカリキュラム」の提供と公開です。そしてもう1つは教育委員会を単位とした「教員向けの6時間セミナー」です。

▲「掃除支援教育カリキュラム」スライドの一例

まず「カリキュラム」ですが、これらは、ダスキンのホームページ「教育支援カリキュラム」に、指導用の教案、児童・生徒が授業の中で使用するワークシート、パワーポイントのスライド教材が、どなたでも無料でダウンロードできるようになっています。

また、もう1つの「教員向けの6時間セミナー」は、昨年度は、大阪、兵庫の関西圏での検証としての試みでしたが、今年は愛知、東京、神奈川、千葉といったエリアにも拡大し、年間で計30の教育委員会を対象に開催しています。ほぼ大半の研修は、夏休みの間に消化ずみです。


6時間の研修とは、長時間ですね。6時間もかけて何をするのだろうか、というのが正直な疑問なのですが・・・。

はい、6時間と聞くと、はじめは皆さん、一様におどろかれます(笑)。ですが、短時間のセミナーと、6時間のセミナーと、2つのタイプのセミナーを実際に行い、受講後のアンケートを比較したところ、6時間のほうが先生方の満足度が高いという結果が出ました。

6時間のセミナーでは、お掃除の指導を通して、子どもたちのどんな力を伸ばすことができるのかというテーマで、先生方と一緒に考えたり、実際にお掃除の実習をしたり、指導案や授業案をつくってもらうなど、ワークショップ的な要素がふんだんに盛りこまれています。

児童・生徒たちにぞうきんの絞り方をどうやって指導するのか? ぞうきんの洗い方から、絞り方、たたみ方等、実際に先生方にやっていただきながら、お話させていただきます。

まず、ぞうきんは、こすり洗いとゆすり洗いをくり返し、きれいになったら、

1)右手でぞうきんの上端をもって、左手で下にしごいて水を落とします。

2)ぞうきんを2つに折り重ね、棒状にし、野球のバットをもつようにもち、両ひじを寄せるように握った手を内側に絞ります。これを「立て絞り」といいます。

▲ぞうきんのしぼり方のコツは、ホームページのカリキュラムでも公開している

また、ぞうきんをふくときには、手のひら  の大きさにあわせて折ると、ふくときに力が入りやすい・・・など。

このように細かいことですが、ぞうきんなどの道具の具体的な使い方や、効果的な机のふき方といった基本的なお掃除の技術など、すぐに役立つ具体的な指導例が「目からウロコ」と先生方に好評です。

また、1日を使うセミナーとなるため、先生方同士がお掃除をテーマに話しがふくらみ、なかなか普段では得られないコミュニケーションの機会となる、ということも、喜びの声として寄せられています。



「あわてず、じっくり」が、
取りくみを続けるための方針


▲先生方から好評の「6時間セミナー」は、運用のあり方も思案中

6時間のセミナーは、充実した内容のようですね。ところで、今後は、どのように学校教育支援活動を続けていきたいとお考えでしょうか?

 学校教育支援活動については、「あわてず、じっくりやっていこう」というのが当社の方針です。やはり地道に継続していく、ということが大切だと思います。

6時間のセミナーも好評ですが、まる1日がかかるため、開催の時期が限られますし、私たちスタッフも回れる範囲が限定されてしまいます。なるべく多くの先生方に知っていただくにはどうしたらよいか、運用のあり方も思案中です。  


本日は、ありがとうございました。最後に、ダスキンさんとして、子どもたちに伝えていきたいことは何でしょうか?

掃除の大切さを知ってほしい、ということに尽きると思います。人が生きていくうえで、お掃除は不可欠です。きれいにすること、清潔にすることは、自分以外の人・ものに対する気くばりや、環境に対する配慮にもつながっていくと思います。

現在は、使い捨ての時代といわれています。ぞうきんを1つ例にとっても、「汚れたら洗う」という感覚が非常に希薄で、ぞうきんが汚れると、「先生、どうしたらいいの?」と聞く子どももいます。汚れたものを洗ってまた使う、というより、汚れたものはゴミ箱に捨てる、という考えに直結しやすいということもよく聞きます。

掃除をすること、きれいにすることによって、ぜひ、ものを大切にする感性を育んでほしいですね。その感性をふくらませて、自分のまわりにあるものや、さらに地球環境を大切にする気持ちに、また人とのコミュニケーション力、協調性につながっていってほしい、そんなふうに願っています。



★株式会社ダスキンの「学校教育支援活動」ホームページ
http://www.duskin.co.jp/torikumi/gakko/index.html

*こちらにいきますと、記事でご紹介した「掃除教育カリキュラム」「お片付け教育カリキュラム」の教材類がダウンロードできます。

●YPPインタビュアー 取材後記●
小学校のお掃除道具や方法などが、何十年も変わっていないこと、ぞうきんのしぼり方のコツ、お掃除の意義の奥の深さなど、取材の間はおどろきの連続でした。「掃除教育カリキュラム」や「お片付け教育カリキュラム」は、なるほどという内容ですので、先生ばかりでなく、お子さんのいるご家庭や、お掃除の苦手な方にもおススメです。