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第6回 株式会社ダスキン

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▲ダスキンの「学校教育支援活動」のホームページ

ダスキンの
学校教育支援活動

~掃除カリキュラムとセミナー~


モップのレンタルや、ハウスクリーニングなど、お掃除に関する商品やサービスの提供を行っている株式会社ダスキン。
いわば、お掃除のエキスパートともいえる企業であるが、掃除に関する学校への教育支援活動を行っているという。その活動について、暮らしの快適化生活研究所の藤原玲子氏にお話をうかがった。


毎日、たかが15分、されど15分
年間3000分にもなる、お掃除の時間

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ホームページで、お掃除に関する「学校教育支援活動」の取りくみについて拝見しました。学校への支援活動を始めたいきさつは、どんなことでしたでしょうか?

生活者の視点に立って、ダスキンが展開する事業領域にかかわる生活者ニーズの調査・研究を中心に行っていく部門として、2000年に「暮らしの快適化生活研究所」が誕生しました。また、次世代を見すえた高齢化社会、循環型社会における「快適なくらし」などについても、研究を行っています。

「生活者」の中には、子どもたちもいます。そして、子どもたちは、一日の大半を学校ですごしています。子どもたちや先生方が、どのくらいお掃除についての知識をもっているだろうか、そんな疑問が出てきました。

そして2001年に、小・中学校の児童・生徒および教員に調査したところ、「ぞうきん、ちりとり、ほうき」などの道具を使った掃除のスタイルが、数十年前とまったく変わっていないということを知りました。ですが、よく考えてみると、実際の生活の中で使っている掃除用具やスタイルとは、ずい分とギャップがありますよね? 現在の一般的なご家庭で、ぞうきん、ちりとり、ほうきだけで掃除をしている、というケースはごくまれだと思います。


▲年間で3000分にもなる、小学校の掃除の時間

いわれてみると、本当にそうですね。現場をリサーチしたあと、どのような展開になったのでしょうか?

学校の掃除時間は、毎日だいたい15分程度が主流です。たかが15分、されど15分で、年間にすると3,000分、小学校は1コマ=45分授業ですから、年間66コマ程度をお掃除に費やしているという計算になります。これは1つの教科に該当するくらいの時間です。

それほど多くの時間を費やしているお掃除なのですから、「15分をじょうずに使いませんか?」そんな思いでカリキュラム開発に着手しました。

2003年には、文部科学省と経済産業省共管の財団法人であるコンピュータ教育開発センター(CEC)の公募事業に参加させていただき、掃除をテーマとした授業をいくつかの小学校で試みました。そして、この取りくみをきっかけに、掃除をテーマにした授業というものが成り立つのではないか、という仮説をもちました。ただ、この公募事業のように、15時間もの授業時間を費やしたり、おおがかりな機材をもちこんでの授業というものが、どこの学校でもできるというわけではない。そこで、全国のどこの学校でも先生が授業を行うことができる、そのためのカリキュラムをつくる必要性があるのではないか、という結論に達し、掃除教育カリキュラムの制作につながります。

そして、2004年、2005年には、先生方の生の声を聞きたいとの思いから、掃除をテーマとするフォーラムを開催いたしました。

また、現場の先生方から、「掃除の時間の指導方法がわからない」「なかなか掃除に関する情報が入ってこない」というお困りごとの相談がふえ、先生向けのセミナーの開催依頼がくるようになりました。そこで2007年に、教員向けセミナーの検証というかたちで、実施させていただきました。


リサーチの段階から、7年もの時間をかけて、本格的な教員向けのセミナーへと発展されたのですね。ところで、掃除教育について、先生方の反応はいかがでしょうか?

先生方にとって、掃除のような教科以外の指導は、教職課程の中でも指導例がなく、意外にお困りであったということで、先生方のニーズにお応えしているという手ごたえを感じています。

▲時間をかけた調査の結果、教員向けセミナーヘと発展した

学校掃除の意義としては、きれいであると気持ちがよい、ということがあげられますが、そのほか、「段取り力」がきたえられるといったことも先生方に注目されています。また皆と協力してものごとを行う、ものを大切にする気持ちが芽生える、ひいては環境問題にも目がむけられるなど、多くの教育的な効果が期待されています。



先生たちに好評の
「6時間研修」の内容は?

ところで、本年度(2008年度)の活動としては、具体的にはどのようなことがあげられますか?

大きくは2つで、1つはこれまで公開しておりました「掃除教育カリキュラム」(小学校全学年対象)に続く中学校対象の「掃除教育カリキュラム」と、小学校中・高学年対象の「お片付けカリキュラム」の提供と公開です。そしてもう1つは教育委員会を単位とした「教員向けの6時間セミナー」です。

▲「掃除支援教育カリキュラム」スライドの一例

まず「カリキュラム」ですが、これらは、ダスキンのホームページ「教育支援カリキュラム」に、指導用の教案、児童・生徒が授業の中で使用するワークシート、パワーポイントのスライド教材が、どなたでも無料でダウンロードできるようになっています。

また、もう1つの「教員向けの6時間セミナー」は、昨年度は、大阪、兵庫の関西圏での検証としての試みでしたが、今年は愛知、東京、神奈川、千葉といったエリアにも拡大し、年間で計30の教育委員会を対象に開催しています。ほぼ大半の研修は、夏休みの間に消化ずみです。


6時間の研修とは、長時間ですね。6時間もかけて何をするのだろうか、というのが正直な疑問なのですが・・・。

はい、6時間と聞くと、はじめは皆さん、一様におどろかれます(笑)。ですが、短時間のセミナーと、6時間のセミナーと、2つのタイプのセミナーを実際に行い、受講後のアンケートを比較したところ、6時間のほうが先生方の満足度が高いという結果が出ました。

6時間のセミナーでは、お掃除の指導を通して、子どもたちのどんな力を伸ばすことができるのかというテーマで、先生方と一緒に考えたり、実際にお掃除の実習をしたり、指導案や授業案をつくってもらうなど、ワークショップ的な要素がふんだんに盛りこまれています。

児童・生徒たちにぞうきんの絞り方をどうやって指導するのか? ぞうきんの洗い方から、絞り方、たたみ方等、実際に先生方にやっていただきながら、お話させていただきます。

まず、ぞうきんは、こすり洗いとゆすり洗いをくり返し、きれいになったら、

1)右手でぞうきんの上端をもって、左手で下にしごいて水を落とします。

2)ぞうきんを2つに折り重ね、棒状にし、野球のバットをもつようにもち、両ひじを寄せるように握った手を内側に絞ります。これを「立て絞り」といいます。

▲ぞうきんのしぼり方のコツは、ホームページのカリキュラムでも公開している

また、ぞうきんをふくときには、手のひら  の大きさにあわせて折ると、ふくときに力が入りやすい・・・など。

このように細かいことですが、ぞうきんなどの道具の具体的な使い方や、効果的な机のふき方といった基本的なお掃除の技術など、すぐに役立つ具体的な指導例が「目からウロコ」と先生方に好評です。

また、1日を使うセミナーとなるため、先生方同士がお掃除をテーマに話しがふくらみ、なかなか普段では得られないコミュニケーションの機会となる、ということも、喜びの声として寄せられています。



「あわてず、じっくり」が、
取りくみを続けるための方針


▲先生方から好評の「6時間セミナー」は、運用のあり方も思案中

6時間のセミナーは、充実した内容のようですね。ところで、今後は、どのように学校教育支援活動を続けていきたいとお考えでしょうか?

 学校教育支援活動については、「あわてず、じっくりやっていこう」というのが当社の方針です。やはり地道に継続していく、ということが大切だと思います。

6時間のセミナーも好評ですが、まる1日がかかるため、開催の時期が限られますし、私たちスタッフも回れる範囲が限定されてしまいます。なるべく多くの先生方に知っていただくにはどうしたらよいか、運用のあり方も思案中です。  


本日は、ありがとうございました。最後に、ダスキンさんとして、子どもたちに伝えていきたいことは何でしょうか?

掃除の大切さを知ってほしい、ということに尽きると思います。人が生きていくうえで、お掃除は不可欠です。きれいにすること、清潔にすることは、自分以外の人・ものに対する気くばりや、環境に対する配慮にもつながっていくと思います。

現在は、使い捨ての時代といわれています。ぞうきんを1つ例にとっても、「汚れたら洗う」という感覚が非常に希薄で、ぞうきんが汚れると、「先生、どうしたらいいの?」と聞く子どももいます。汚れたものを洗ってまた使う、というより、汚れたものはゴミ箱に捨てる、という考えに直結しやすいということもよく聞きます。

掃除をすること、きれいにすることによって、ぜひ、ものを大切にする感性を育んでほしいですね。その感性をふくらませて、自分のまわりにあるものや、さらに地球環境を大切にする気持ちに、また人とのコミュニケーション力、協調性につながっていってほしい、そんなふうに願っています。



★株式会社ダスキンの「学校教育支援活動」ホームページ
http://www.duskin.co.jp/torikumi/gakko/index.html

*こちらにいきますと、記事でご紹介した「掃除教育カリキュラム」「お片付け教育カリキュラム」の教材類がダウンロードできます。

●YPPインタビュアー 取材後記●
小学校のお掃除道具や方法などが、何十年も変わっていないこと、ぞうきんのしぼり方のコツ、お掃除の意義の奥の深さなど、取材の間はおどろきの連続でした。「掃除教育カリキュラム」や「お片付け教育カリキュラム」は、なるほどという内容ですので、先生ばかりでなく、お子さんのいるご家庭や、お掃除の苦手な方にもおススメです。

第5回 株式会社島津製作所

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▲島津製作所の「え~こクラブ」のホームページ

島津製作所の環境活動チーム
「え~こクラブ」の試み

~環境教材づくりと出前授業など~


京都に本社をおく株式会社 島津製作所は、ノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏を輩出した企業でもある。
「え~こクラブ」は、その島津製作所の環境活動チームであり、このチームが、大学生らと共同で環境教材をつくり、小学校でカードを使った「出前授業」も行っている。
活動の内容について、「え~こクラブ」の大瀬潤三氏、岡崎令子氏にお話をうかがった。


環境問題に前向きな人たちが集まり
「え~こクラブ」が誕生

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島津製作所さんに、「え~こクラブ」という環境活動チームがあることを知りました。まずは、島津製作所の環境への取りくみ、および、「え~こクラブ」が誕生したきっかけについてお聞かせください。

1996年に、世界的な動きとして、ISO14001(環境マネジメントシステムに関する国際規格)が発行されるようになりました。その翌年の1997年に、島津製作所の三条工場がISO14001を取得、その後、国内・海外の工場でも次々とこの国際規格を取得しました。そのノウハウを生かし、現在では、他社さまのISO14001認証取得の支援もしています。

ISO14001の取得は、社内の環境に対する意識を高めるのに役立ちました。ですが、数年すると、活動に目新しさがなくなり、大きな効果が出づらくなってきました。

そこで、女性の感性をいかして、職場だけでなく、日常生活での環境保全活動を始めようと、「え~こクラブ」が結成されました。それが1999年です。


▲「え~こクラブ」のよきアドバイザーでもある、大瀬潤三氏

なるほど。「え~こクラブ」が結成され、それから、子どもたちに対して活動を行うようになったのは、どんな理由からでしょうか?

当初は、ポケット型灰皿、エコライフを送るためのヒント集の作成などを通して、社内の環境活動を進めてきました。その後、そうした活動やそのノウハウを社外にも提供できないかということで、小中学生を対象に「出前授業」を行うようになりました。その背景には、我々の環境に対する取りくみが、大人の視点にかたよりすぎてはいないだろうか?との疑問が出てきたこともあります。

私たち大人は、比較的よい環境を、その上の世代からいただいてきました。その一方で、私たち大人は、次の世代によい環境を子どもたちに渡せるのだろうか、そんな疑問です。

我々が「環境」と「子どもたち」に対して、もう一歩先に進みだす必要があると感じて、「え~こクラブ」を中心に、「出前授業」を行うようになったのです。


どのような方たちが「え~こクラブ」に加わったのでしょうか? また、会社の中で、チームはどのような位置づけなのでしょうか?

企画自体はトップダウン式にはじまりましたが、女性社員を中心に、女性ならではの視点を生かし、職場だけでなく、子どもたちを対象にしたり、日常生活の身近なところから環境問題に取りくもう、ということを活動の主旨とし、環境問題に前向きな人たちを集めて、チームづくりをしました。

▲「え~こクラブ」のリーダー、岡崎令子氏

「え~こクラブ」の活動は、一定の時間内は業務と認められていますが、専任者がいるということではなく、メンバー全員、本業とする仕事がほかにあります。部署横断的に、ボランティア精神のある人たちが集まったチームとして、定着していると思います。



最新作の「bidi(ビディ)」カードは
動植物の絶滅危惧(きぐ)種がテーマ

社員のボランティア精神が、活動を大きく支えている、というのは心強いですね。
先ほどは、「え~こクラブ」の結成当初の活動についてお話がありましたが、そのほか最近では、どのような活動を行っているのでしょうか?

過去約9年間の間に、いろいろな活動を行ってきましたが、ここ数年は、小学生向けの「環境教材づくり」と、その教材を使った小学校での「出前授業」を活動メニューのひとつとしています。

▲最新作「bidi(ビディ)」カードは、動植物の絶滅危惧(きぐ)がテーマ

一番最近の話ですと、「bidi(ビディ)」カードという、動植物の絶滅危惧(きぐ)種をテーマにしたカードゲームが、2008年の3月に完成しました。「bidi」は、biodiversity(生物の多様性)から、「bio」のbi、「diversity」のdiをとって名づけたものです。

これは、同志社大学と、京都精華大学の学生さんとのコラボレーション企画です。同志社大学の経済学部(環境経済学)のゼミの学生さんがゲームのアイディアを考え、京都精華大学の学生さんがイラストを描き、我々島津製作所メンバーが、子どもをもつ母親の視点から、子どもたちに受け入れられるかどうかの検討と、企画全体のとりまとめを行いました。

学生さんも、我々メンバーも、それぞれに考えやポリシーをもっていますので、ぶつかるときにはぶつかりながら、お互いに納得しながら前に進み、教材の完成までに半年以上の時間を要しました。


完成したカードゲームについての反応は、いかがでしょうか?

カードが完成した直後に、小学生や大人を対象にゲームをしてみましたが、年代にあわせた遊び方ができるので、小学校低学年から大人まで十分に楽しめるゲームであるとの感触を得ました。意外にも、お父さんたちが夢中になるゲーム、との感想もいただきましたよ(笑)。

2008年の7月から、この教材をもって小学校で「出前授業」を行っています。特に宣伝をしているわけではないのですが、口コミや「京都商工会議所」のご紹介で、2008年度は20校程度で授業を行うことを計画しています。



出前授業では
子ども10名に社員1名が入るシフト


▲「京路地(みやこ ろじ)すごろく」を検証する、「え~こクラブ」のメンバー

そのほかに、どのような「環境教材」をつくられましたか?

「環境教材づくり」は、2003年からはじめており、最新作の「bidi」カードは4作目です。

小学生には1作目は、2003年の「世界水フォーラム」をきっかけにしてできた、「雨水くんの冒険 双六」で、こちらは英語版も作成し、ユニセフに寄贈しました。

2作目は、「アースちゃんのエコライフ」で、省エネやリサイクルをテーマにしたすごろくゲームです。

3作目は、「京路地(みやこ ろじ)すごろく」で、京都の町を舞台にリサイクルをテーマにしたゲームですが、こちらは京都大学の学生さんとの共同開発でした。
この教材から、「学生とのコラボ」という動きもプラスされ、4作目の「bidi」カードの開発へとつながっています。「bidi」カードは、今後、英語版も作成の予定です。


「産学連携」という新しい要素が加わったのは、おもしろい展開ですね。
ところで、小学校でカードを使った「出前授業」を行っているというお話ですが、授業についての小学校側の反応はいかがでしょうか?

▲環境教材ゲームを使った「出前授業」

先生たちとお話をすると、先生たちはさまざまな課題を抱えていらっしゃり、「環境教育」をやりたいと思っていても、社会との関わりの中でどのように展開したらいいのか、準備に十分な時間がさけないなどの問題があり、我々の活動をうまく活用してくださっているように思います。

昨年からは、単発的な授業だけではなく、1年の年間計画の中で、環境教育を行ってほしいという依頼も出てきており、これまでの活動を評価してくださった結果と受けとめています。

また、子どもたちの反応ですが、校外から人が来て、授業を行うということが刺激になるようです。出前授業の時間はとても集中している、ということで、先生たちも子どもたちのふだんとは違う様子に、とてもおどろくようです。

ただ、「ゲーム」を行うにあたっては、子どもたちが勝敗にこだわりすぎないように、我々も気をつけるようにしています。子ども10名のグループに社員1名が入り、できるだけ、子どもたちひとりひとりをケアできるように心がけています。



環境活動を続けるポイントは
「楽しみを見つける」こと


長年、活動を行ってきた経験から、「環境活動」を継続していくためのポイントは、どのようなところにあると思われますか?

教材づくりや、小学校の出前授業のほかに、「え~こクラブ」には、会社の屋上でグリーンを育てる「屋上緑化」や、「町の清掃」などの活動もあるのですが、環境問題に注目しつづけることや、活動しつづけることが、意外とむずかしいと思う場面があります。

▲屋上でグリーンを育てる「屋上緑化」

「環境問題」は、ややもすると一時的に盛りあがって忘れてしまう、という危険をはらんでいるように思います。

そういったことにならないように、活動から「楽しみを見つける」というのが、意外と続けるためのポイントのように思います。これはさりげなく周囲を活動に巻き込むためにもです。

「屋上緑化」を例にしますと、花を植えて水を与える、ということだけですと、ともすると屋上に行くことすらおっくうになりがちですが、ある年に落花生を植えて、成長記録をホームページで発表しながら、最終的には収穫を行い、希望者に種を配布する、ということを行いました。育てている自分たちも楽しいと思いましたし、他の社員も注目してくれていたな、という感触がありました。

▲リサイクルや分別活動の結果、あらたに生まれたグッズ類

また、社内のリサイクルや分別活動の結果として、ポケットティッシュやノート、炭などをつくり、「自分の行ったことが、どのような結果になっているか」を見てわかるようにしています。

細かいところですが、意外とちょっとした「楽しみ」や「結果」が、継続するための秘訣なのでは、と思います。

また、活動メンバーの立場として言えば、あまり気負いすぎないことでしょうか。そのときそのとき、一番必要なことは何かなと考えながら、一歩一歩前に進めばいいのだと思っています。


  本日は、いろいろなお話をありがとうございました。最後に、環境活動のとりくみを通して、一番、子どもたちに伝えたいこと、行いたいことは何でしょうか?

親の立場からすると、自分の身にてらしあわせても、「子どもに言われたこと」というのは、意外と心にささるものです。ですので、子どもに教えるというよりは、子どもといっしょに学んでいきたい、と思いますね。

それから、企業の立場から、ということで言いますと、各社企業によってそれぞれに考えがあるかと思いますが、我々の場合は、あえて企業色を出さずに環境活動にたずさわりたいと考えています。小学校で授業をするのも、いいことづくめ、学ぶことばかり。環境の問題というのは、企業だけの問題ではないですし、未来の地球という大きな視点からとらえたいと思います。

「循環して還ってくる」。すべてのことが、そういうものだと思いますから。



★株式会社島津製作所「え~こクラブ」ホームページ
http://www.shimadzu.co.jp/aboutus/eco/eco_club/index.html

「bidi」カードほか、すごろくゲーム類は、送料実費分の切手代のみ負担で、一般にも無料配布されています。応募については、上記の「島津製作所ホームページ」にてご確認ください。

●YPPインタビュアー 取材後記●
子どもや地球の未来について、おひとりおひとりが真剣に考えながら、でも、気負わない「え~こクラブ」のメンバーの方たちの姿が、とても印象に残りました。環境活動を続けていく難しさをよくご存じのうえで、「楽しみを見つける」ことが、継続の秘訣とのコメント。この言葉に、社会貢献活動を続けていくためのヒントがあるように思いました。

第4回 京都商工会議所

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▲京都商工会議所のホームページ

「京都商工会議所」 が推進する
小学校への出前授業

~「環境教育」をテーマとした取りくみ~

「商工会議所」とは、地域に根ざしながら、商工業の改善や発展を支援する総合経済団体である。そして「京都商工会議所」は、その名称のとおり、京都の経済・産業を支援する団体だが、「環境教育」をメインとする、小学校への出前授業を推進しているという。
その活動について、産業振興部 まちづくり推進担当の谷口真氏にお話をうかがった。


活動がスタートして7年目
ここ2年で、急に参加者がふえる傾向に

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京都商工会議所が、小学校への「環境教育」の出前授業を推進していると聞きました。まず、推進をスタートした時期と、京都商工会議所の役割について教えてください。

スタートしたのは、2002年からです。
京都は「京都議定書」(注:1997年、温室効果ガス排出量の削減等について議決した議定書)が締結された地域ということもあり、環境先進都市としての役目を担っていると思います。こういった背景もあり、当時の担当部の部長と現場担当者とのアイディアで立ち上げたもので、誰かにうながされたというものではありません。

我々、京都商工会議所は、いわばコーディネーターの役割を果たしています。

議員企業(注:京都商工会議所の会員である、京都のある有力企業。2008年度現在、議員企業は150社)に対し、小学校で出前授業を実施したい企業を募集し、一方では教育委員会に、企業からの出前授業を受け入れたい小学校を募集します。そして、私どもが企業と小学校の調整を行って、出前授業を成立させるというものです。

活動の初年度は、企業5社、小学校6校で試行的にスタートしましたが、7年目の2008年度は、21社、55校が参加の予定です。過去6年間で、累計約1万人の子どもたちが参加したことになります。

過去の参加企業・小学校等の数字は、こちらをご覧ください。

年度   協力企業数   授業実施校数    参加児童数
2002年     5社         6校            297名
2003年  13社       19校         1100名
2004年  13社       23校         1413名
2005年  16社       33校         2125名
2006年  17社       39校         1988名
2007年  20社       51校         3064名


活動の立ち上げから2006年までは、一部の凸凹はあるものの、順調に右肩に推移している、という印象です。2007年になって、急に参加小学校と児童数がふえましたね。このあたりは、何か理由があるのでしょうか?

▲「授業実施企業をはじめ、各方面の方のご支援・ご協力により、さまざまな賞をいただいています」と語る、谷口真氏

ここ2年の動きは、我々もおどろいています。
このように急に要望が高まっている理由は、今まで地道に行ってきた活動が認知されてきたこととと、企業のCSR活動への意識が高まってきているからでしょうか。

おかげさまで、2005年度には資源エネルギー庁長官賞、2007年度には京都市教育功労者表彰、そして本年度2008年度には京都府環境トップランナー表彰と、続けて賞をいただきました。また、新聞、テレビ、ラジオ等のメディアで紹介されたり、日本商工会議所の中で紹介されたりと、皆さんから注目される場面もふえてきました。



商工会議所、企業、小学校
3者のそれぞれのメリットとは?

出前授業の内容について、京都商工会議所から企業側に要望を入れることはあるのでしょうか?

各企業の授業の具体的な内容については、私どもとしては企業のアイディアや自主性を尊重するスタンスです。企業によって得意分野は異なりますし、さまざまなメニューがあることも活動のメリットととらえています。

ただし、活動の趣旨がぶれないように、出前授業の目的が、「環境問題に積極的にとりくんでいる京都企業の環境技術や取りくみを小学生に紹介する」「京都企業に対する関心を深める」「人材を育成し、将来、地域の社会や経済に貢献する」といったことであることは、企業の参加を呼びかけるときに確認するようにしています。


なるほど。出前授業の内容は、いろいろなメニューがある、ということですが、例えばどんな授業があるのですか?

▲水質を浄化する植物「ヨシ」の効果について語る出前授業

造園業の会社では、樹木医という「木のお医者さん」が講師になって、木のことや、植樹のことからはじまり、CO2のこと、命の大切さへとつなげる授業をしています。

エネルギーの会社では、電気やガスの実験など、理科的な要素を入れた授業を行っています。

なお、出前授業を実施したあとは、子どもたちの作文や先生方からのアンケートをいただいています。これらは、随時、実施した企業にもフィードバックしています。最終的には、年度末に参加企業が集まる懇談会を行い、企業名と学校名をふせた形で、アンケートの集計結果を参加企業の皆さんに配布し、他社がどういった授業をしているのか、どういったことが子どもたちや学校側に喜ばれるのかなど、情報を共有し、内容の改善ができるようにしています。


情報の共有は、企業側にとってもありがたいでしょうね。活動を続けてこられて、どういった点で成果が出ていると思われるでしょうか?

成果については、「京都商工会議所」、「企業」、「小学校」と、それぞれにあると思います。

まず、我々「京都商工会議所」は、「環境先進都市・京都」を内外にアピールでき、会員企業のイメージアップにもつながっています。また、これをきっかけに会員企業の環境担当の方などとのつながりができるので、この活動以外のことでご相談を受けた際にも、このつながりが生かされる場面があります。

▲印刷をテーマにした出前授業

企業については、一度参加された企業でやめたケースというのは、まだありません。最近の世の中の動きとして、企業のCSR活動・環境活動は重要になってきていますので、何かしらの意義を感じていただいているのだと思います。また、授業を行う講師は若手社員であることがの場合も多いのですが、子どもたちに説明するということは、誰にでもわかりやすく説明する必要があり、自社の企業活動を整理したり、わかりやすく伝えるにはどうしたらよいかを考えるよいチャンスになるようです。

小学校については、外部から人が来て授業を行うことが、子どもにとっても、先生にとっても刺激になる、ということです。先生方からは、ふだんと違う、意外な子どもの一面を発見しておどろくといった声はよく聞きますし、他の人の授業を見ることによって、自分の授業の仕方の面でも参考になる、といった意見をいただきます。

また、子どもたちの作文に、「名前は知っていても、何をしている会社か分からなかった。授業を聞いてわかるようになった」「その会社の製品を使ってみたいと思った」「今までよりも、環境を考えるようになった」などの感想を目にします。こういった意見や感想をいただくと、実施企業や私どもにとって、活動を進めるうえでの、大きなはげみになります。


活動の本当の成果は、
子どもたちが大人になる10年、20年先

今後、この活動をどのように発展させていきたいとお考えでしょうか?

まだ参加されていない議員企業には、参加していただきたいですし、個人的な意見になりますが、将来的には議員企業以外の企業にも範囲を広げられたら、と思います。小学校も、京都のすべての小学校に参加していただきたいですね。そのためには、我々もその規模にたえられるよう、受け入れ体制をととのえていく必要がありますが。この活動にかかわるすべての皆さんに、満足しもらえるものにしていきたいと思います。


本日は、いろいろなお話をありがとうございました。最後になりますが、出前授業を推進する活動を通じて、京都商工会議所として、一番期待していること、願っていることはどんなことでしょうか?

近い将来、ということでいえば、子どもたちが高校、大学を出たあとに、ぜひ授業を受けた企業をはじめ京都を拠点とする会社を選んでほしいですね。 

ただ、この活動の本当の成果があらわれるのは、実は10年、20年先の話だと思っています。ものづくりをする心、環境の問題・・・子どもたちが大人になったときに、少しでもこの活動が役に立っていれば、と願っています。



★京都商工会議所ホームページ
http://www.kyo.or.jp/kyoto/index.shtml

●YPPインタビュアー 取材後記●
子どもたちが、将来就職する際に、京都の企業を一番はじめに選んでほしいという、はっきりとした団体としての目的をもちながら、「本当の成果は10年、20年先」というコメントがまさに的を射ていて、印象に残りました。地域の総合経済団体だからこそできる、コーディネーターとしての「商工会議所」としての役割に、今後も期待していきたいと思います。

第3回 株式会社村田製作所

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▲村田製作所のホームページ

短期間でプロジェクト化に成功
村田製作所の「理科教育」

~セイサク君、小学校へ行く~


「ムラタセイサク君(R)」は、村田製作所が開発した自転車型ロボット。S字型の平均台や坂道を走り、完全に停止しても倒れないという不思議なロボットである。
セイサク君を活用した、村田製作所の「理科教育」の活動について、広報部 企業広報課の吉川浩一氏、高橋正嗣氏、泉淳一郎氏にお話をうかがった。

*「ムラタセイサク君(R)」は、株式会社村田製作所の登録商標です。

授業で「セイサク君」を使うことは、
小学校からの要望ではじまった

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村田製作所の広告で「理科はすきですか」というコピーを拝見しました。会社全体として、「理科」とのつながりを積極的に打ち出しているように見えます。まず、その背景についてお聞かせください。

▲広報部の「理科教育」を担当するメンバー。泉淳一郎氏(向かって左)、吉川浩一氏(中央)、高橋正嗣氏(右)

当社は、電子部品を主力商品とする製作所で、「ものづくりの会社」「技術でなりたつ会社」であると認識しています。

村田製作所が何をしている会社であるかを皆さんに知っていただくために、また、社会の中での会社の役割を考えて、「理科とのかかわり」を強く打ち出しています。


そう考えると、村田製作所が小学校で「理科教育」の出前授業を行うことも、ごく自然な流れですね。この活動は、いつから、どのようなことがきっかけでスタートしたのでしょうか?

実は活動そのものは、比較的最近のもので、2006年にスタートしました。

昨今、教育界でも子どもたちの「理科ばなれ」が問題になっていますが、セイサク君が予想以上に子どもたちに人気が出たこと、また、当時の社長(現会長)が、将来のものづくりを担う人材不足を懸念し、業界全体で何かをしなければ、と理科ばなれ阻止の取りくみを訴えたことを受けてスタートしたプロジェクトです。

「理科教育」の出前授業は、2006年は11校、2007年は39校ほど実施しました。エリアは、当初は、本社が所在する京都周辺が中心で、関係会社が数多く存在する北陸エリアへ拡大し、現在では国内外広く実施しています。

多くの学校から声がかかり、授業の実施回数も増えていますが、その反面、日程が合わない、手がまわらない場合が出てきているのが、もっかの悩みです。


ごく短い期間のうちに、活動を軌道に乗せたようですね。具体的にはどのような内容の授業を行っているのでしょうか?

当社の開発した「ムラタセイサク君(R)」という、自転車型のロボットを活用しての内容が中心です。

2005年のCEATEC JAPAN(シーテック ジャパン/アジア最大級の最先端IT・エレクトロニクス総合展)で、「セイサク君」が話題になったこともあり、「セイサク君」を使って授業をしてほしいと、小学校側からの要請ではじまったものでした。口コミや、地元紙などの紹介により、大きな反響があったので、「理科教育」専任者を配置するなどして、本格的な取りくみをしました。

「セイサク君」をPRしはじめたころは、展示会で見ていただくことは考えていましたが、正直、それを活用して小学校で授業をすることは、あまり考えていませんでしたので、小学校から要請があったことは大変うれしかったですね。


▲S字型平均台もすいすい走る「セイサク君」

小学校側の要望にこたえるかたちで、活動が広がっていったのですね。
ところで、「セイサク君」には、どのような理科的な要素があるのでしょうか?

電子部品はもちろんなのですが、「自転車がなぜ倒れないか」というのは、よく考えると不思議なことで、理科的な教材がぎっしりつまっています。本気で話せば、大学生を対象にしても耐えられる内容なんですよ。

小学生には、「自転車がなぜ倒れないの?」「自転車は、どうして立っているの?」という問いかけから、「ジャイロセンサ」で傾きを検知し、お腹の円盤を回すことによりバランスを保つしくみを説明しています。ジャイロセンサが、デジタルカメラの手ぶれ防止や、ゲーム機など、多くの身近な機器に使われていること、そしてムラタのいろいろな部品についてまで話をつなげていきます。

▲「セイサク君」を中心とする、小学校での出前授業

本当は、もっといろいろなことを子どもたちに教えたいという気持ちなのですが、1コマの時間が45分、また、子どもたちの理科的な知識も限られています。 ですので、「理科はおもしろい」と感じたり、「どうして倒れないのかな?」と不思議に思ったりなど、理科学習への動機づけをするまでを、この活動のひとつの目標にしています。

子どもたちが「理科ばなれ」していると言われていますが、子どもたちは決して理科がきらいなわけではない、ということは実感しています。



「なぜ?」と思った気持ちを
深堀りしてほしい


子どもたちは、理科がきらいなわけではない、というのは明るい材料ですね。
ところで、活動の内容について、どんなところが今後の課題でしょうか?

カリキュラムの内容は、現在のところ、活動を走らせながら改善していく、という段階なので、エレクトロニクスのことなど、さらに充実させていきたいですね。

今は説明をしたり、見てもらったりという、どちらかというと、「こちらから子どもたちに情報を与える」という内容が中心なので、もっと実験の要素を入れたり、双方のやりとりがあるような内容にブラッシュアップしていきたいと思っています。

ロボットには多くの技術の要素がつまっています。少し先の話かもしれませんが、ロボットのしくみについて子どもたちが知識をもったら、次は動くものをつくってみたり、つくったものを披露しあうような大会ができたらいいな、と将来の夢を描いています。


「ムラタセイサク君」を活用した「理科教育」のほか、村田製作所として行っている社会貢献活動は、ほかにあるでしょうか?

別チームとなりますが、「環境学習」をテーマにした出前授業は、「理科教育」よりも先に、2005年からスタートしています。

▲「エレきっず学園」のホームページ

また、当社のホームページに「エレきっず学園」という子ども向けのサイトをつくっています。ここでも、子どもたちに理科や環境に関する情報を発信しており、喜んでもらっています。

そのほか、スポーツや文化振興のイベント等の協賛・主催も行っておりますが、関心のある方は、村田製作所の「CSRへの取り組み」のホームページをご覧ください。


本日は、いろいろなお話をありがとうございました。最後になりますが、子どもたちへの「理科教育」を担当され、一番、子どもたちに伝えたいことは何でしょうか?

そうですね、今、便利な生活になれてしまって、多くのことがあまりにも当たり前になってしまっていると思います。

「テレビがうつるのはなぜ?」「携帯電話で、話しができるのはなぜ?」

よく考えると、身のまわりには、「なぜ?」と思うことや、不思議なことがいっぱいです。何でも、いろいろなことに関心をもって、「なぜ?」と思った気持ちを深堀りしてほしいと思います。

苦労して調べること、実験してみること、自分の五感で試してみること・・・。
自分の手を動かして、「なぜ?」と思った気持ちを深堀りしていけば、そこに「発見」や「気づき」が生まれます。さらに、普段はなにげなく感じていた「当たり前」のことが、とてもすごいことだと気づくことも多いのではないか、と思うのです。



★株式会社村田製作所「CSRへの取り組み」ホームページ
http://www.murata.co.jp/corporate/csr/index.html/

●YPPインタビュアー 取材後記●
ヒット作のロボットを上手に活用し、会社の強みが打ち出された事例だと思いました。短期間の間に、プロジェクトを軌道に乗せた取りくみは、社会貢献活動をはじめたいと思う企業・団体にとっても、さまざまなヒントを提供してくれているのではないでしょうか。

第2回 キッコーマン株式会社

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▲バーチャル工場見学もある、キッコーマンのホームページ(「亀甲仙人のしょうゆ塾」より)

幸せな食体験づくりをめざす
キッコーマンの試み
~しょうゆ塾の食育活動など~


おしょうゆの味は、日本人の味覚の原点といっても、いいすぎではないであろう。
「おいしい記憶をつくりたい。」を社のスローガンとするキッコーマン株式会社。
全社をあげてのプロジェクトを推進している、食育活動の経緯と内容について、経営企画室 大津山厚氏にお話をうかがった。

「キッコーマンしょうゆ塾」などの出前授業も好評
講師は社員から募集

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キッコーマンさんのホームページを拝見しまして、「キッコーマンしょうゆ塾」などの活動を行っていることを知りました。 まずは、キッコーマンさんの食育活動が、どのように発展してきたのか、教えてください。

▲キッコーマン株式会社
 大津山厚氏(経営企画室)

2005年に国会で「食育基本法」が成立しました。 それに先立ち、2004年7月に、トップから食育についての動向を研究し、当社で具体的に何をできるか検討するように指示があり、プロジェクトを発足しました。

その後、全社をあげてのプロジェクトに発展しました。

2006年4月に、社員を対象にアンケートをとったところ、約9割の社員が、当社が、食育活動を行うことに意義を感じているという結果が出ました。 会社として食育活動を行うことは、食品会社につとめる誇りにもつながることがわかりました。


プロジェクトとしては、理想的な展開ですね。具体的には、どのような活動を行っているのでしょうか?

先ほど名前の出た「キッコーマンしょうゆ塾」も、その一例です。 社員2名がひとつのチームになって、関東、中部、近畿地方の小学校に無償で出前授業に行く活動です。

キッコーマン社員2000人の中から、しょうゆ塾の講師を公募にして、自発的に手をあげさせたところ、165人の希望者が集まりました。 正直、希望者は、かなり少ないと予想していましたので、うれしいおどろきでした。

▲キッコーマン社員が講師になって小学校で行う「しょうゆ塾」出前授業

「しょうゆ塾」は45分間の授業です。現在の光村図書3年の「国語」の教科書で、「すがたを変える大豆」という単元があり、 その単元を勉強した子どもたちに授業をすると、特に双方向のコミュニケーションが活発になります。 「しょうゆの原料に何があるかな?」と質問をすると、「コウジカビ!」とすぐさま答えがかえってきて、講師のほうがおどろくこともしばしばです(笑)。

しょうゆ塾の授業の台本や、授業の運び方は、NHK日本語センターの方に、監修をしてもらっています。 講師となる社員もロールプレーイング(模擬授業)の実習を通じた指導を受け、授業の質の向上につとめています。


講師になる社員に、専門家の研修を受けさせるというのは、丁寧なつくりですね。「しょうゆ塾」のほか、食育活動として、どのようなことがあるでしょうか?

大人が対象になりますが、当社の「キッコーマン総合病院」の院長による、食を通じた健康管理や、 ごはん主体の食事メニューを提案するようなホームページからの情報発信を行っています。

▲おしょうゆの原料にもふれられる、体験型の工場見学

それから、昔から行っている「工場見学」を大切にしています。さまざまな理由で、工場見学縮小のメーカーもあると聞きますが、 当社の場合は、むしろ工場見学の来場者が増える傾向にあります。野田工場のケースでいうと、 プロジェクトで導入したさまざまな方策の効果が表れ、過去3年間で2万人ほど来場者が増えています。

アルコール飲料の工場のような、洗練された施設ではありませんが、「おもてなしの心」がまず大事と考え、食の原点にふれられるような2時間程度の 体験型メニューを組んでいます。おしょうゆの原料にふれたり、素焼きのおせんべいを焼いて食べたり、と。

野田工場の「ものしりしょうゆ館」の中に、「まめカフェ」というスペースをつくりましたが、そこではおしょうゆ味のソフトクリームが食べられたり、 とうふを食べての3種類のしょうゆの利き味ができるなど、ユニークだと好評です。ささやかな試みではありますが、しょうゆの魅力を知ってほしいと思っています。

そのほか、キッコーマンアカデミーという専門家の講師派遣やキッコーマン国際食文化研究センターの食文化に関する情報発信といった活動等もあり、 ご興味のある方は、当社のホームページをごらんください。


特に小さな子どもには、
幸せな食の記憶を重ねてほしい

食育活動を続けていくには、どんなことが大切だと思われますか?

「地道な活動で、自分たちのできることを行う」ことが、続けていく秘訣ではないか、と思っています。 自分たちの事業に密接にかかわるもので、関わる社員が「参加してよかった」と思える活動であるから 継続できるのだと思っています。

先ほどの「キッコーマンしょうゆ塾」もおかげさまで好評で、毎年参加校が増えており、 2007年度は155コマを実施しました(2006年度は119コマ)。 その一方で、急激に手を広げすぎないように気をつけています。授業の質を低下させないためです。 地道に発展させ、広げていくことが理想だと思います。


最後に、キッコーマンさんとして、子どもたちに一番何を伝えたいでしょうか?

「おいしい記憶をつくりたい。」を、コーポレートスローガンとしていますが、 食にまつわる幸せな記憶、すなわち「おいしい記憶」を積み重ねられるよう、応援をしていきたいという気持ちです。

幼いときに食べたものの記憶は、大人になっても忘れられないものですから。



★キッコーマン株式会社の食育活動ホームページ
http://www.kikkoman.co.jp/shokuiku/

●YPPインタビュアー 取材後記●
子どもの時に食べていた味は、大人になっても忘れらない、
ということはよくあるものです。
「おいしい記憶をつくりたい。」というスローガンは、自分の体験と照らし合わせても、とてもすてきなことばだな、と思いました。

第1回 カゴメ株式会社

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食育活動を手がけて45年
成長しつづけるカゴメの試み

~凛々子(りりこ)わくわくワークショップ~

全国の幼稚園・小学校約3,700校に、トマトの苗を無償で提供している「カゴメ株式会社」。 その活動は、「凛々子(りりこ)わくわくワークショップ」と題し、カゴメの食育支援活動の一環として位置づけられている。 活動の内容と、カゴメの食育活動の姿勢について、広告部COプロモーショングループ 食育担当 浜井純子氏にお話をうかがった。


10年目をむかえた
「凛々子(りりこ)わくわくワークショップ」

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まずはカゴメさんの食育活動が、いつからスタートしたのかお聞かせください。

活動の歴史は古く、45年前から始まっているものもあります。当初は、カゴメの主力商品であるケチャップが、お子さまの好む調味料であったことから、 日頃ご愛用いただいているお子さまやその保護者の方々に、感謝の気持ちとカゴメの企業姿勢や商品をお伝えする企業PR活動としてスタートしました。
今からおよそ15年前、日本でクローズアップされはじめた「食育」という流れに目をむけ、それまでの活動をより意義のある活動にしようと考え、 「食育支援」というコンセプトでくくり、充実させました。その頃、食育をテーマにした番組提供や、お料理コンテストといった活動もスタートしました。
そして、10年前には、カゴメトマトジュースの原料となる加工用トマト「凛々子(りりこ)」の苗を無償で配布する活動がスタートしました。 カゴメの食育支援活動の歴史からすると、この活動は「まだまだ新米」という感じです(笑)。


10年で「新米」というのも、驚きですね。何がきっかけとなり、トマトの苗を配布する活動がはじまったのでしょうか?

▲「凛々子(りりこ)」は、カゴメのトマトジュース専用の品種名。生食用のトマトよりも、ややこぶりで、完熟すると芯まで真っ赤になります

当時、トマトジュースに使われるトマトは、市場で商品にならないような傷んだトマトを使っているのではないか、 という誤解が、消費者の方に少なからずありました。もともと、ジュース用のトマトは、サラダなどで食べるトマトとは、品種が違うものです。 それを知っていただくには、実際にご自身でトマトを育てていただくのがよいのではないかと考え、スーパーなどの店頭で苗を配布するキャンペーンがスタートしました。

これをカゴメの工場見学に来た小学校の先生方にもご案内したところ、「ぜひ育ててみたい」とおっしゃったので、1年目は55校に配布いたしました。


55校ではじまった活動も、今では3,000校以上にもなるのですね。

はい。それまでの活動でつながりのできた幼稚園や保育園、小学校などにご案内をしながら、 年々お申し込みが増え、今年(2008年)は約3,700校に苗を配布するまでになりました。

ところが、苗の活用実態を調べてみると、幼稚園や学校、あるいは先生によっても、育てる環境や取り組み方も多様で、また、栽培後の感想や評価もバラバラでした。 あるところでは、多くの収穫があったけれど、あるところは、植えっぱなしで枯れてしまったとか。上手に授業に結びつけているところと、そうでないところなど・・・。


多くの学校や幼稚園に、参加していただくのはうれしいですが、新たな悩みでもありますね。

はい。そこで、受け手である教育現場に、「教材」としての「凛々子(りりこ)」を上手に活用していただくとともに、 日々子どもたちと接していらっしゃる先生方のアイディアやご意見などを集約し、よりよい活動へと反映していくことをめざして、 昨年(2007年)、活動の名称を「トマトの苗プレゼント」から「凛々子(りりこ)わくわくワークショップ」に変更しました。

▲4-5月に、「凛々子 (りりこ)」の苗の植えつけ (定植) を行います

この「凛々子(りりこ)」の苗の栽培体験をきっかけに、子どもたちが多くの人たちとふれあいながら、「命の大切さ」と「感謝する心」を育むきっかけとなることを願っています。

苗といっしょにお送りする「ティーチャーズガイド」には、先生方からいただいた指導アイディアを掲載し、 多くの学校で学習教材として活用していただけるように、情報提供の仕方を工夫しました。 あわせて、実践レポートを募集しており、すばらしい取り組みは、随時ウェブサイトや、次年度のティーチャーズガイド等で紹介しています。

▲先生方の意見を反映した「ティーチャーズガイド」

また、年2~3回、先生たちとの直接交流する機会として、教員研修形式のフォーラム を開催し、情報交換を行っています。

私自身も、なるべく多くの小学校や幼稚園を訪問し、子どもたちの栽培のようすなど、栽培現場を取材させていただいています。


子どもたちには、
「食」は楽しい、と感じてほしい

過去の経験をいかしながら、活動を上手に発展させてきたということがよくわかりました。今後、カゴメさんでは、どのように活動を発展させたいとお考えですか?

新たな活動を次々に展開していくということや、一次的に盛り上がって終わるものでなく、 子どもたちと、そのまわりにいる大人の方にとって、有益な活動を継続していくことが大切ではないかと考えています。 過去の経験をいかしながら、その時代のニーズに合った活動となるように、内容を充実していくこと。 そして会社の得意分野であり、事業規模に見あった活動を、続けていくことだと思います。


本日は、いろいろなお話をありがとうございました。最後となりますが、カゴメさんが、食育支援活動を通して、子どもたちに伝えたいことは何でしょうか?

▲「体験型の活動で、食の楽しさを伝えていきたい」と語る、浜井氏

カゴメの使命として、「日本人の野菜摂取に貢献する」ということがあります。 子どもたちには、健康に生きていくために必要な正しい食習慣を、小さい頃から体験によって身につけてほしいと願っています。

「食は人を良くする」と書き、「食は人を育てる」とも言われますが、実際に学校の先生方からも、食事をきちんとしている子と、 そうでない子とでは、集中力や落ち着きが違うようだ、という話を聞きます。 まずは、「食」に興味をもって、「食」は楽しいと感じられる子どもになってほしい。

また、健康な心と体をつくる「本物の食」を見極める力を、幼少期の体験によって身につけられるとよいでしょうね。 食の成り立ちを知ることや、作っている人の思いを理解すること、そういった力は、食べ物だけでなく、「美しいもの」や「信頼できるもの・人」など、少し大げさかもしれませんが、 あらゆる「本物」を見極める力につながっているのではないか、と思うのです。

カゴメの活動を体験した子どもたちが、食べ物や命への理解を深め、身につけてくれる、そんな活動になれたらうれしいですね。



★カゴメ食育支援活動ホームページ
http://www.kagome.co.jp/shokuiku

●YPPインタビュアー 取材後記●
45年の歴史がある、カゴメの食育支援活動。 10年間続けているトマトの苗の配布も、「まだまだ」と言われるところに、活動の深みを感じました。 地道に活動を継続したい、という今後の姿勢も、活動がしっかり根をおろしているからこその発言と、受け止めました。